| 契約後の建主さんの立場が弱くなる理由 ■ 「工事契約する前の建主さんの立場は強いが、契約後の立場は弱くなる。」 と言われますが、本当でしょうか? もし、そうだとしたら何故でしょうか? 「毎回、高い買い物をしてくれるお客さん」が「良いお客さん」です。 それには「毎回」と「大きい金額」の二つがセットになっています。 もし、それが片方だけだったらどうでしょうか? 「毎回」買ってくれるお客さんは「大きい金額」ならもちろんのこと、 たとえ「少ない金額」であっても「良いお客さん」と思われ、そう言われます。 では、「大きい金額」の買い物を一度してくれたけど、その後の数十年は 買ってくれそうもないお客さんの場合はどうでしょうか? そのときは「大きい金額」の買い物をしてくれそうなので、 大切に、大切にして、買っていただきます。 しかし、その次が無ければ・・・・別の「大きい金額」の買い物を してくれそうな「良いお客様」に顔を向けます。 こうするのが悪いのでなく、ごく自然な考え方であり、行動であり、 非難すべきことではないし、非難されることでもありません。 ■ 建主さんのときはどうでしょうか? 金額の点では、建主さんは一度に数千万円の買い物をしてくれるお客さんなので、 満点以上の、大切にされるお客さんです。 お客さんと言われる日常品の買い物客より格段上の扱いをされ お客様と言われます。 買い物の「回数」はどうでしょうか? 日常品の買い物と異なり、家は一度建てればその後の数十年はその次がないのが 普通なので、建主さんはリピーターになれません。 それはそれで、その買い物をしたときに普通より格段上の扱いを受けて 「お客様」と言われたから満足できます。 しかし、ここで問題があります。 買い物した日常品は完成品です。 その買い物はお金を支払うと同時に完成品を手にすることができるので、 お客さんと言われ、買い手としての立場のままでその買い物は完了します。 一方、家の買い物は契約時にその完成品を手にすることができません。 現物が全く無い、書類上の契約の時点で買うことの約束をします。 この時点で建主さんは 「買ってくれるかも知れない、と期待される買い手」 の立場から、 「あと数十年は買ってくれない買い手」 の立場に変化します。 そして、その立場が変化した後に着工し、数カ月かけて家が造られます。 設計施工では、その立場が変化した後に実施設計し、 詳細決定して着工するのはさらにその後です。 家づくりは、日常品の瞬間的な買い物と違い、 長期間の売買行為の過程において本来の買い手としての優位性を契約という、 ごく初期の時点で失ってしまうのです。 ■ 家づくりの契約の重さは新車を買う契約と比較すると、 とても比較できない格段の重さがあります。 新車の契約破棄は、メンドウになったら、 買ってから下取りに出してもそれなりの損失で済むが、 自分の敷地に建て始めた家の契約破棄は、 その工事途中の家を誰も買うはずがないし、 自分の敷地を売るわけにもいかないから大変です。 建主さんからの契約の破棄は、それまでにかかった費用、 着工前であれば、それまでの設計費だけが原則だが、 すでに発注している部材があればその費用、 着工後の基礎ができた時点では、それまでの基礎の工事費と木材費とその加工費、 すでに発注している屋根材、サッシ、外壁材など。 着工前に床材やクロスまで全部決めているときは、 すでに発注が終わっているという名目で、 工賃を除く建材、機器のおよそ全ての費用が請求されます。 家が完成していないので不動産としての担保設定ができないので、 公的融資、民間融資とも実行されませんから、どうにもなりません。 契約後に、建主さんからの契約解除を絶対にしないことです。 「契約したら絶対に契約解除できない。」と思って契約することです。 ■ では、家づくりで「本来の買い手としての優位性」を失ってしまう契約後も その優位性を保持する方法がないでしょうか? それがあるのです。 設計事務所は、一度は自分の家を建てることがあるが、 次がないのは建主さんと同じです。 しかし、設計事務所は一年に数回、十数回、 住宅その他の設計・監理をするのが仕事です。 工務店は今の工事が良ければ、その設計事務所の他の工事を受注できる チャンスがあります。 そのとき、設計事務所は建主でないが、 自分の家でなくても設計事務所は建主さんと同じような立場です。 この点で設計事務所はリピーターです。 建主さんが設計監理委託して、これに便乗すればリピーターになれます。 こうすると、建主さんは 「最も高額の買い物を1年に数回してくれる最高のお客さん」 になったまま、家の工事完了を迎えることができ、 その後のメンテナンスも心配ありません。 |
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